元湯夏油(2019.5.11)
夏油温泉は、岩手の山奥にある温泉である。
江戸時代の温泉番付で「東の大関」だったとガイドブックに書かれていたため、来訪を決意。
ただ、行くのが非常に難しい……マイカーないとなおさらである。
「夏油温泉 バス」で検索すると、「路線バス廃止」という文字が目に飛び込んでくるレベルである。
調べてみると、どうもJR北上駅から無料シャトルバスが出ているっぽかったのだが、どうやっても2018年版の時刻表しか発見できない! これも廃止になったのか???
元湯夏油という旅館には、宿泊者のみ北上駅からの無料送迎があるとのこと。
宿泊……致し方なし。
行ってみた
盛岡でじゃじゃ麺を食べて、
北上駅に13時45分に集合。
「元湯夏油」と書かれたワゴンを発見。今日の送迎バス利用者は私を含めて2名らしく、早々に出発した。
最初はのどかな田園を進む。
20分くらい走ると、徐々に山っぽくなってくる。
山っぽく……というか、山である。
高湯温泉、銀山温泉など数々の山奥温泉を経験した私でもびっくりするレベルの山道。
運転手さんもじわじわ進む。カーブで対向車線に遭遇することも多い。
あと、山の温泉に来るといつも思うのだが、「山奥のガードレール、必ずひしゃげている」問題。ここで過去に何が……
と、私が背筋をピンと伸ばして緊張している目の前で、もう一人の男性客は普通に寝ていた。よく寝れるな!
いずれにせよ、明けない夜はない。
宿に到着! 14時20分くらいだったから、北上駅から車で40分程度ということになる。
「あれ……確かチェックインは15時からだったよな……?」と一瞬不安になるも、普通に中に案内されて、いろいろ説明されて、お部屋に入ることができた。
館内はこんな感じ。
内風呂が2つ、露天風呂が5つある。私が行った日は「目の湯」は川にまだ橋をかけていないので使えないとのことだった(←最初は意味がわからなかったが、後に知ることになる)。
露天風呂は基本的に混浴だが、女性専用時間も設けられている。「滝の湯」は終日女性専用。
「真湯」が女性専用になるのを待って、早速行ってみた。
露天風呂は、一旦旅館の外に出なければならない。
この間の通路を歩いていく。
看板に従って曲がると、
んん……?
これは……圧倒的……圧倒的……
川!!!!!
ごうごうと音をたてて流れる川のすぐそこに露天風呂。
あまりの近さに感動。「真の湯」は温度もちょうど良くて、ずっと入っていられた。
「目の湯」に向かう橋の写真を撮り忘れたのだが、この川を挟んだ向かい側に「目の湯」がある。当然、橋が必要で、橋はかかっていたのだろうが、破壊されていた。
橋といっても、一枚板を置いただけの簡素な物で、冬季休業中に雪の重みで破壊されるらしい。あと、夏季営業中も、「台風と集中豪雨で必ず2回は壊れるんですよ〜笑」と湯守の方がおっしゃっていた。
しっかりした橋をかけるのは行政の許可が必要で煩雑なので、年に数回壊れることを前提に、簡素な橋をかけているそうだ。
次に、元湯夏油で最も有名な「大湯」へ。
「大湯」は本当に特別で、もうほとんど身体が動かなかったお客さんが「大湯」に入って、すぐ歩けるようになったりするのを旅館の方は何度も見ているらしい(さっきからちょくちょく出てくる「○○だそうだ」系の話は全て、帰りの送迎バスで湯守の方から聞いています)。
しかし熱い!!!
足の先をちょっとつけただけでヒリヒリする熱さ。しかし、圧倒的トロトロは感じる。
かけ湯をしながらじわじわ膝まで浸かる。
いや熱い!
早々に退散し、「大湯」のそばにある「疝気の湯」へ。こちらはむしろ温かった(私にはちょうどいい)。
真夜中の冒険
別に真夜中ではないが。
「真湯」の女性専用時間が20時半からもあるので、入らねばと思って、行ってみることに。
しかし、外は真っ暗。電灯も所々しかなく、歩くのに支障はないものの、ちょっと怖い!
途中、湯治客とすれ違って挨拶したので、少し安心。
真っ暗闇なので川は見えないが、ごうごうと音だけを聞きながら入る。
これはこれでオツなものだ。
というか、この1泊の間、ついぞ他のお客さんと一緒にお風呂に入るってことがなかったのだが……みんないつ入ってるんだ??(私以外にも女性のお客さんはいた)
朝が来た!
夜、やたら鳥の声が聞こえてきて、「こいつら絶対住んでるだろ!」と思っていたが、思った以上に住んでた!
建物の軒下に点々と巣が。もはや数え切れないくらいあった。朝に歩くと、頭上を鳥たちが高速で行き交っている。
イワツバメらしい。普通のツバメよりちょっと小柄。
冬季休業中に渡ってきて巣を作り、夏季営業準備に入る湯守さんたちを待っているようだ。
良い温泉、良いお宿でした。
帰りの送迎バスから、ダムと山。
ロビーに漫画がいろいろ置いてあったんだけど、こんな山奥で「金田一少年の事件簿」はどうだろう!笑 しかも天草四郎伝説!(それでも読んだ)
この後、遠野へ行きました。